I

琴坂さん

ねぇ、この曲聴いたときさ、最初の一言で心つかまれなかった?

遠鷺さん

つかまれたどころじゃないよ!『これで終わりにしよう』って始まる曲なんて聞いたことないって。

まだトラック1だよ!? って心の中で全力で突っ込んじゃった。

琴坂さん

わかる~。前のアルバムの雰囲気とは全然違っててさ、いきなり暗い深海に引きずり込まれる感じだった。

遠鷺さん

そうそう。なんかさ、主人公の“I”がすごく不安定で…

聞いてるこっちが『大丈夫?話聞こうか?』って言いたくなるレベル。

琴坂さん

なんか嫌なことあったんじゃないかって本気で心配になるよね。歌詞も思考回路がギザギザしてる感じで。

遠鷺さん

うんうん。あとさ、気のせいかもしれないけど『ー』とか『一』とか、線っぽい文字多くない?

琴坂さん

あー!思った!曲名が “I” だから? 意図的なのか、偶然なのか…気になる。

遠鷺さん

それにしても、最後の“ I ”連呼するアウトロ… あれ心臓えぐられる。

琴坂さん

ほんと。それまで冷静に聴けてたのに、あそこきた瞬間、息止まった。

遠鷺さん

叫んでるっていうより、飲み込めない感情が漏れてるみたいでさ…こっちまで胸が苦しくなる。

琴坂さん

こういう曲ってさ、好きとか嫌いじゃなくて、刺さるかどうかなんだよね。

遠鷺さん

うん。しかも刺さったあと、抜けない。

擬態

琴坂さん

ねぇ、2曲目入った瞬間びっくりしなかった?

遠鷺さん

した!あの暗く沈んだ1曲目から一気に風が吹き抜けたみたいな爽やかイントロ!

“え?同じアルバム!?“って思ったよ。

琴坂さん

そうそう。なんか、洗濯機の脱水終わったあとに外の青空見たみたいな気持ちになる。

遠鷺さん

例えクセ強いけどわかる(笑) でも歌詞は軽くないんだよね。むしろめっちゃ刺さる。

琴坂さん

うんうん。歌詞、音楽ってより文学だよね。文章で読んでも成立しそう。

遠鷺さん

特にCメロ……あそこ鳥肌立った。

幸せって金額じゃ測れないとか、弱さやハンディ=不幸って誰が決めたのっていうあの問いかけ。

琴坂さん

そう!なんか、講義でも説教でもなくて、ふっと肩叩かれて“ねえ、気づいてる?”って言われる感じ。

遠鷺さん

わかる~。優しいのに鋭い。刺さるのに痛くない…いやちょっと痛いか(笑)

琴坂さん

あとさ、歌詞の“~できるのに”“~になれるのに”っていう未達成のもどかしさ、共通してるよね。

遠鷺さん

うん。でもなんでだろうね、絶望っていうより“まだ続く旅”って感じなんだよね。不思議と前向き。

琴坂さん

でさ、サビの“海じゃなくてアスファルト跳ねるトビウオ”ってやつ。

遠鷺さん

あれ何……考えれば考えるほど混乱する(笑)

琴坂さん

普通なら飛べる場所じゃないのに、それでもジャンプする感じが…なんか人間っぽい。

遠鷺さん

生きづらい世界でも、“生きたい”とか“変わりたい”ってもがく姿、みたいな?

琴坂さん

そうそう。痛々しいけど、尊いんだよね。

遠鷺さん

でさ、ジャケットのあのザトウクジラ!!どーーんって。

琴坂さん

そう!それに比べたらトビウオなんてちっちゃいじゃん。でもさ、それが多分意味あるんだよね。

遠鷺さん

うん。クジラは象徴、完成された力強さ。トビウオは途中の存在。

“擬態”ってタイトルも含めて、まだどこに属するか悩んでる状態の象徴みたい。

琴坂さん

つまり…クジラは理想。トビウオは今の自分。

遠鷺さん

言ったね!?急に深くなったね!?

琴坂さん

いやだってさ、この曲聴いてたら、自分もまだ跳ねられる気がするんだよ。

遠鷺さん

わかる。痛くても、格好悪くても、ジャンプしていいって言われてる気がする。

HOWL

琴坂さん

ねぇ、3曲目入った瞬間テンション上がったでしょ?

遠鷺さん

上がった!“HO〜WL!”のあの叫び!あれもう反則。聴いた瞬間、背筋がビシッとする感じ。

琴坂さん

疾走感すごいよね。バイクで夜の高速走ってるみたいな。

遠鷺さん

わかる!でさ、HOWLってどういう意味か気になってたんだけど…

調べたら『遠吠え』とか『叫び』って意味なんだって。

琴坂さん

うわ、それ曲の雰囲気と完璧に合ってるじゃん…!自分の奥の本音が外に漏れる感じ。

遠鷺さん

歌詞もリアルだよね。仕事疲れた社会人の週末って感じ。

琴坂さん

お酒飲んで、バイク乗って、嫌なこと全部風に流してくみたいな。虚しさじゃなくて、“生きてる実感”寄りのやつ。

遠鷺さん

そうそう。1曲目の“I”が精神的に不安定で溺れそうなのに対して、この主人公はちゃんと周りが見えてる。

琴坂さん

うん、冷静だよね。“叫んでる”のに、迷ってない感じ。

遠鷺さん

客観視できてるし、自暴自棄じゃないのがキュッとくる。

琴坂さん

あとさ、歌詞で“夢見なきゃつまんない”ってよくある言葉なのに、この曲だと妙に説得力あるんだよね。

遠鷺さん

そう、夢っていう“完成形”じゃなくて、そこに向かってる途中の泥だらけのプロセスすら楽しもうとしてる感じ。

琴坂さん

うんうん。叶ってない夢に向かう途中なのに、そこで腐らず“それでも走るぜ”って言ってるのがカッコいいんだよ。

遠鷺さん

なんか、聴いてると“疲れててもまだ行けるかも”って思えてくる。

琴坂さん

わかる。遠吠えしてるのに、負けた顔してないんだよね。

遠鷺さん

ねぇ……一緒に叫ぶ準備できた?

琴坂さん

もちろん。次流れたら全力で“HO〜WL!!”だよ。

I'm talking about Lovin'

琴坂さん

4曲目さ、タイトルからしてなんかウキウキしない?

遠鷺さん

する〜!“I’m talking about Lovin’”って、『僕は“愛すること”について話してる』って感じの意味だよね。

琴坂さん

わぁ、タイトルからもう片思いの匂いがぷんぷんする…!

遠鷺さん

曲調も楽しいし前曲からいい流れだよね。

琴坂さん

うん、これは完全に“好きが止まらない人”のラブソングだよね。

まだ恋人じゃないけど、好きすぎて言葉がこぼれてく感じ。

遠鷺さん

そうそう、“僕しか出てこない”ってとこがまた良くてさ。

相手の存在が大きすぎて、視界に僕しかいないみたいな。

琴坂さん

わかる、それ恋してる人の脳内テンションだよね。

遠鷺さん

でも歌詞の言葉選び、改めて面白いよね。

琴坂さん

うん!韻がめっちゃ気持ちいい。

リミットとチケット、本能と翻弄、Friend と The END…耳が喜んでる。

遠鷺さん

タイトルに“SENSE”ってついてただけあるわ。センスで遊んでる感じ。

琴坂さん

で、サビが全部英語なのびっくりした。ミスチルでは珍しいよね。

遠鷺さん

そうそう。なんか日本語だと恥ずかしすぎて言えないこと、英語なら勢いで言えちゃう感じ?

琴坂さん

うん、それめっちゃリアル。“I like you”や“I love you”って最後のストレートが全部を持っていく。

遠鷺さん

でもさ、その手前までの迷いとか不安とか、“どうしよどうしよ…でも好き…”って揺れてるのもちゃんと歌詞に出てて可愛い。

琴坂さん

あ〜わかる。大人の片思いってより、青春の延長線上の“好き”だよね。眩しい。

遠鷺さん

結末は語られてないけど、告白してほしいなぁ。

琴坂さん

うん。あのサビの勢いのまま行け!って背中押したくなる。

遠鷺さん

……もしこの曲の主人公が友達だったら、絶対言うよね。

琴坂さん

どんな風に?

遠鷺さん

“もういいから告れ。今すぐ行け。“って。

365日

琴坂さん

5曲目きたよ、ついに……“365日”。

遠鷺さん

やばい、イントロだけで心が柔らかくなるやつ……。

CMで聴いた人も多いだろうけど、アルバムの流れで聴くと破壊力が違うよね。

琴坂さん

ほんとそれ。さっきまで英語で片思い爆発してた曲とはまた違う、しっとり大人の愛。

遠鷺さん

タイトルもすごいよね。“一年間全部”。もう言葉だけで覚悟と愛情の重さが伝わる。

琴坂さん

なんか“たまに愛してる”じゃなくて、“毎日ちゃんと、継続して、深く愛してる”って感じだよね。

遠鷺さん

うん。特別な日だけじゃ足りないって歌詞の世界観がすでに尊い。

琴坂さん

サビのキャンドルのとこもいいよね。

遠鷺さん

ね。普通キャンドル→誕生日→一年に一度、って連想するじゃん。

でもさ、この曲では逆なんだよね。

琴坂さん

そう。“特別な日だから愛を伝える”んじゃなくて、“そんな限定じゃ足りない、毎日伝えたいんだよ”っていう……エモすぎん?

遠鷺さん

静かに泣かせてくるタイプの愛情だよね。

琴坂さん

あとさ、2番の歌詞めっちゃ綺麗じゃない?

遠鷺さん

うん、それわかる!雪が降り注ぐ街の描写がもう映画なんよ。淡くて切なくて幻想的。

琴坂さん

しかもさ、“365日”と“砂漠の~”って韻踏んでるって気づいたとき震えた。

遠鷺さん

sanbyakuとsabaku!あれ知った瞬間、鳥肌立ったよね。仕掛け方がおしゃれすぎ。

琴坂さん

この曲って、ただのラブソングじゃなくて“成熟した愛”なんだよね。

遠鷺さん

うん、情熱だけじゃなくて覚悟、継続、願い、全部柔らかい毛布で包んだみたいな愛。

琴坂さん

あと裏話聞いてさらに好きになった。

遠鷺さん

“365日”っていう絶対的な名曲があるからこそ、他の曲で実験できたって話でしょ?

琴坂さん

そうそう。1曲目の『I』とか今まで挑戦してこなかった作風も、“これがあるなら大丈夫”って支えになったって。

遠鷺さん

なんかその話聞くと、この曲がアルバムの“心臓”みたいに思える。

琴坂さん

ねぇ……最後に一言言わせて。

遠鷺さん

なに。

琴坂さん

“365日好きでいられる人間がいる世界、最高。”

遠鷺さん

それな!!!!

ロックンロールは生きている

琴坂さん

はいきた、6曲目。“ロックンロールは生きている”。

遠鷺さん

いやさぁ……“365日”で心がふにゃふにゃになったところに、いきなりドーン!って爆音。

感情ジェットコースターすぎ。

琴坂さん

わかる!もう椅子から立ち上がりたくなる感じ。

ここから第二章始まります〜って宣言されてるみたい。

遠鷺さん

イントロからエネルギーすごいよね。“黙ってられるか!”って曲が言ってくる(笑)

琴坂さん

でさ、この曲ってただ音が激しいだけじゃなくてさ、メッセージ強いよね。

遠鷺さん

うん。“ロックンロール=叫びたい衝動、心の奥に押し込めた何か”みたいな。

琴坂さん

そうそう。誰の中にもあって、それを生かすか殺すかは自分だぞって突きつけてくる。

遠鷺さん

めっちゃ背中押してくるよね。優しくじゃなくて、“お前できるだろ?行け!”ってタイプ。

琴坂さん

あとさ、この曲ってミスチル自身に向けてる感じするよね。

遠鷺さん

めっちゃ思った!HOMEとSUPERMARKET FANTASYのあの優しい雰囲気の流れから……

琴坂さん

そう。多分“俺らまだロックバンドだぞ!”って確認してるみたいな。

遠鷺さん

その自己紹介をあえてこのタイミングでやってくるの、痺れる。

琴坂さん

ライブver聴いた?

遠鷺さん

もちろん!!!むしろライブでこそ完成する曲よ!

琴坂さん

わかるー!アレンジえぐいよね。盛り上がり方が尋常じゃない。

遠鷺さん

しかも30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランスでも演奏されたも最高。

琴坂さん

でさ、アウトロ……気づいた瞬間泣きそうになった。

遠鷺さん

だよね!?あの電子音からの波の音……

琴坂さん

ファンなら確実に気づく“深海”の1曲目『DIVE』のメロディー……!

遠鷺さん

15年以上離れた作品同士で海が繋がるとか何その物語性……エモすぎて呼吸止まる。

ロザリータ

琴坂さん

ねぇ、7曲目“ロザリータ”来た瞬間さ…

遠鷺さん

わかる、空気変わりすぎて思わず『え、ここで失恋!?』って言ったもん。

琴坂さん

だよね。さっきまで“愛してるー!”とか“毎日伝えたい!”ってラブラブモードだったのに…

突然冷水ぶっかけられた感じ。

遠鷺さん

アルバムの感情ジェットコースター、ほんと油断ならん(笑)

琴坂さん

でもさ、この曲の主人公…めちゃくちゃ未練タラタラじゃない?

遠鷺さん

うん。もう忘れたいのに忘れられない、思い出が呪いみたいに残ってる感じ。

琴坂さん

しかも、元恋人の名前を歌詞で直接言わないで“ロザリータ”って匿名に変える理由を歌の中で説明するところ、あれメタすぎて好き。

遠鷺さん

そうそう。“名前出したら生々しすぎるからさ…”って、歌の中で照れてるみたいで可愛いけど…めっちゃ痛い。

琴坂さん

そしてさ、呼びすぎじゃない?ロザリータ。

遠鷺さん

そう!サビで“ロザリータ 僕のロザリータ”って何回言うのよって思うけど……

琴坂さん

でもあれ、多分本人が忘れたくないからだよね。

遠鷺さん

名前呼ぶたびに、“まだ終わってない”“まだ繋がってる”って自分に言い聞かせてる感じ。

琴坂さん

そうそう、“もう会えない”って認めたら崩れるから、名前の中に希望残してるんだよ。

遠鷺さん

なんか、片思いの痛みと失恋の痛みって似てるけど違うじゃん?

琴坂さん

うん。片思いは“得られなかった痛み”で、失恋は“一度あったものを失くした痛み”だからね。

遠鷺さん

この曲は完全に後者。しかも立ち直る途中でもなく、ただ彷徨ってる状態。

琴坂さん

でもね、失恋ソングなのにメロディーが妙に気持ちよくて、

遠鷺さん

わかる~!その矛盾がまた良いのよ。

琴坂さん

さぁ……8曲目。“蒼”。

遠鷺さん

……空気、急に静まるよね。音が暗いとかじゃなくて、“温度が下がる”って感じ。

琴坂さん

収録曲で一番短いのに、存在感デカすぎるやつ。

遠鷺さん

うん。この曲だけ空気が濃い。呼吸ゆっくりになる。

琴坂さん

てかさ、“蒼”って漢字にした意味よ。

遠鷺さん

そう!普通の“青”じゃなくて“蒼”なんだよね。

琴坂さん

色じゃなくて、“心の色”って感じ。浅くない、澄んでない、深い青。

遠鷺さん

そう、夜明け前の空とか、海の底みたいな。希望あるのか無いのかわからない濃度の色。

琴坂さん

歌詞の主人公、頑張ってるのに報われないっていう現実めちゃくちゃ刺さる。

遠鷺さん

うん。“努力は報われる”なんて言葉が時々遠く感じる時あるじゃん。

琴坂さん

ある。すごくある。

遠鷺さん

でもちゃんと諦めてるわけじゃないのがこの曲のすごいとこなんだよね。

琴坂さん

そう!最後の“それでもまだ手を伸ばし続ける”って一言が救い。

遠鷺さん

あそこでもう泣きそうになる。静かなんだけど、叫んでるよね。心の奥で。

琴坂さん

あとこの曲、具体的な状況が歌われてないからこそ……

遠鷺さん

めっちゃ自己投影できる。

琴坂さん

そう。“あ、これ私のことじゃん”って勝手に当てはめちゃう。

遠鷺さん

傷具体じゃなくて抽象だからこそ、いろんな人が抱えてる“痛みの名前”に近いんだよね。

琴坂さん

そう考えるとさ、このアルバムの主人公って……幸せそうな人あんまりいないよね。

遠鷺さん

そう。恋してる人も、夢追ってる人も、報われない人も、みんな何かしら戦ってる。

琴坂さん

日常に疲れてたり、迷ってたり、折れそうだったり……でも生きてるって感じ。

遠鷺さん

で……最後の口笛。

琴坂さん

……あれ反則だよね。綺麗なのに、切なくて、余韻が刺さる。

遠鷺さん

泣きながら空見上げて歩いてる人の背中が見える気がする。

fanfare

琴坂さん

はい来ました!!“fanfare”!!!

遠鷺さん

もうイントロで立ち上がっちゃうやつ!!テンション爆上がり!!

琴坂さん

前曲“蒼”でしんみりしてた心が一気に引っ張り上げられる感じすごくない?

遠鷺さん

ギャップの暴力。でも必要な暴力。(笑)

琴坂さん

てかさ、1行目の“悔やんだって後の祭り もう昨日に手を振ろう”これ絶対“蒼”に向けてるよね?

遠鷺さん

うんうん。完全に繋がってる。

“落ち込んだって意味ない。止まるな。行くぞ。”って感じ。

琴坂さん

2曲でひとつの物語だよね。アルバムでしかできない配置。天才か。

遠鷺さん

で、この曲ライブ初披露の映像さ……

琴坂さん

言わないで、あれ語るだけで泣ける。

遠鷺さん

会場の歓声が一気に跳ね上がる瞬間、まるで“解放”だよね。

琴坂さん

そうなの!新曲なのにみんなすぐ身体で反応してるのがエモすぎる。

遠鷺さん

そしてさ、ONE PIECEの映画主題歌。

琴坂さん

はい、そこ語らなきゃ終われない。

遠鷺さん

最後のシーンで曲が入るタイミングが神すぎて鳥肌えぐかった。

琴坂さん

映像と音楽のシンクロ率100%。感情崩壊不可避。

遠鷺さん

ONE PIECE人気がさらに爆発したの、マジでこの曲の力あると思う。

琴坂さん

わかる。曲が作品の世界観と完全に噛み合ってたもん。

遠鷺さん

歌詞も航海モチーフになっててさ。

琴坂さん

人生=冒険、前に進むしかない、仲間いる、それでも荒波くる、でも行く。

まさにワンピ、まさにSENSE、まさにミスチル。

遠鷺さん

海ってこのアルバムのテーマだよね。

孤独の海、迷いの海、そして希望の海。

琴坂さん

この曲聴くとさ、なんかわかんないけど“できる!”って思っちゃうんだよ。

遠鷺さん

そう。根拠ない自信が湧く曲。

いやそれがロックで、音楽で、ファンファーレなんだよね。

ハル

琴坂さん

ついに来たね、“ハル”。

遠鷺さん

うん、アルバム後半の空気がガラッと柔らかくなる瞬間。

琴坂さん

最初聴いたときさ、なんかふわ〜って心がほぐれる感じしなかった?

遠鷺さん

した!温かいお茶飲んだときみたいな安心感。

琴坂さん

音が細くて繊細なんだけど、そのぶん刺さらなくて包まれる感じなんだよね。

遠鷺さん

わかる。癒しってこういう曲のための言葉だよって思った。

琴坂さん

歌詞の描写もすごいリアルだよね。

遠鷺さん

ね、ファンタジーじゃなくて“カーテン”とか“信号機”とか日常にあるものばかり。

琴坂さん

そうそう。それが逆に心に入ってくるんだよね。“自分の周りにもある景色だな”って思えるから。

遠鷺さん

でさ、この曲の主人公って何かに疲れてたんだよね。

琴坂さん

うん。迷ってたり、悩んでたり、足踏みしてた人。

遠鷺さん

でも春の風とか、自然とか、光に触れたらふっと肩の力が抜けるんだよね。

琴坂さん

“理由ないけど大丈夫な気がする日”ってあるじゃん?あれだよね。

遠鷺さん

このアルバムさ、ずっと心の葛藤とか孤独とか痛みが描かれてきたじゃん。

琴坂さん

そうそう。みんな戦ってた。

遠鷺さん

“ハル”って、その戦ってきた人たちに一旦呼吸をくれる曲って感じ。

琴坂さん

それすごいわかる。“走り続けなくていいよ、立ち止まって風浴びなよ”みたいな。

遠鷺さん

しかもさ、“春”じゃなくて“ハル”ってカタカナにしてるの良くない?

琴坂さん

うんうん、季節だけじゃなくて、心が晴れる“晴る”とか、芽が“張る”とか、なんか意味含んでそうだよね。

Prelude

琴坂さん

ついに来たね…“Prelude”。

遠鷺さん

来ちゃったね…。なんかもうタイトル見ただけで胸がきゅーってなる。

琴坂さん

まずさ、“Prelude(プレリュード)”って前奏曲って意味でしょ?

遠鷺さん

うん。でもさ、ただの“前置き”じゃなくて“ここから始まる壮大な物語の入口”って感じなのよ。

琴坂さん

それそれ!曲名からしてすでに泣かせにくる。

遠鷺さん

この曲、fanfareのあとに来るのずるいよね。

琴坂さん

そう。fanfareが“よし!走れ!跳べ!”って背中押してくれるなら、Preludeは“うん、しんどかったね。でも大丈夫。一緒に行こ?”って手を差し伸べてくれる感じ。

遠鷺さん

寄り添い方の種類が違うんだよね。強く引っ張るんじゃなくて、隣に並んでくれるタイプ。

琴坂さん

でさ、この曲のすごいところ言っていい?

遠鷺さん

うん、知ってるけど言って。

琴坂さん

過去曲の記憶が歌詞の中に散りばめられてるところ!!!

遠鷺さん

わかる!!“光の射す方へ”のワード出た瞬間、鳥肌立った。

琴坂さん

そうそう!昔から聴いてきたファンには刺さりまくり。

遠鷺さん

まるで“これまでの君も間違ってないし、そのすべてが今へ繋がってる”って言われてるみたいなんだよね。

琴坂さん

でさ、この曲が“前奏曲”ってタイトルってことはさ…

遠鷺さん

うん…それもう、“終わりじゃない、ここが新しい出発だよ”って宣言じゃん。

琴坂さん

そうなのよ!!!あんだけ積み上げてきて、まだ“ここから始まる”って言い切るのヤバい。

遠鷺さん

もうその精神がロックだし希望でしかない。

琴坂さん

そうなのよ!!!あんだけ積み上げてきて、まだ“ここから始まる”って言い切るのヤバい。

遠鷺さん

Against All GRAVITYのライブで演奏されたとき覚えてる?

琴坂さん

覚えてるどころか、あれ思い出すだけで泣ける。

遠鷺さん

間奏のアレンジがまた最高でさぁ。そこに桜井さんのあのMC乗るじゃん?

琴坂さん

うん…あの瞬間、曲じゃなくて“メッセージ”になってた。

遠鷺さん

ねえ、この曲一言でまとめるなら?

琴坂さん

……“優しい始まりの宣言”。

遠鷺さん

もうそれだけで泣ける。

Forever

琴坂さん

ついに…最後の曲。“Forever”。

遠鷺さん

うん…名前聞くだけで静かに涙腺くるやつ。

琴坂さん

まずさ、あのイントロのピアノ。

遠鷺さん

わかる。あれもう“音”じゃなくて“空気”。

琴坂さん

そうそう。部屋に光がさして、埃がゆっくり舞ってる感じ…映画みたいなんだよね。

遠鷺さん

で、歌詞の始まりがいきなりソファで寝転ぶ僕っていう、あのリアルな描写。

琴坂さん

うん。舞台がステージじゃなくて、生活なんだよね。

遠鷺さん

しかも永遠を信じてたはずの恋が終わって、その“永遠”という言葉を疑うところから始まるのがもう…刺さる。

琴坂さん

でもさ、この曲の“Forever”ってそういう永遠の愛とか情熱じゃないんだよね。

遠鷺さん

そう。“永遠はない”って視点から始まってる。

琴坂さん

そこで終わらないのがすごいんだよ。

遠鷺さん

そう!失恋ソングなのに、めちゃくちゃ前向き。

琴坂さん

だって“永遠がないなら、今のどうしようもないこの気持ちも永遠じゃない”って気づくんだもん。

遠鷺さん

その発想の転換だけで救われる人多いよね。

でさ、間奏ヤバくない?

琴坂さん

うん、あれは音楽というより“時間の層”だよ。

遠鷺さん

懐中時計の針の音、携帯のボタンの音…あの数字入力のピッピッって音!

琴坂さん

あったねー!懐かしいのよすべて。ラジオの周波数のザザッってやつも。

遠鷺さん

過ぎた時代の音が重ねられてるの、あれ象徴なんだよね。

琴坂さん

そう、“過去に戻れない”っていう切なさと、“時間は進むしかない”っていう現実。

遠鷺さん

で、あのシャウト。

琴坂さん

ああぁあーーーってやつね。

遠鷺さん

1曲目『I』のシャウトが衝動なら、この曲のは喪失と解放。

琴坂さん

うん、ほんと対になってる。アルバムの最初と最後が会話してるみたい。

遠鷺さん

で、最後の歌詞よ。

琴坂さん

僕らの周りに いくつもの愛がいつもあったよ』ね。

遠鷺さん

もうね、それ聞いた瞬間、ただの失恋じゃなくなる。

琴坂さん

うん。“愛を失った話”じゃなくて、“愛を知れた時間を振り返る物語”になる。

遠鷺さん

SENSEってアルバム、通して聴いてやっと意味が完成するタイプだよね。

琴坂さん

そう。1曲ずつの物語が全部繋がってて、Foreverで“答え”出して終わる。

遠鷺さん

しかもライブ演出がまた完璧なんだよ…

琴坂さん

そう、曲が終わって、静まり返ったあとにロゴがドーンって出るじゃん?

遠鷺さん

うん、あの瞬間、“あぁ終わったんだ…”って実感くるよね。