overture

月藤さん

ねえねえ、1曲目の overture、いきなり歌ないのにめっちゃ引き込まれない?

霞沢さん

わかる! 最初『え、SEだけ?』って思うんだけど、なんか不思議な音が次々出てきてさ

月藤さん

しかも overture って“序曲”とか“前触れ”でしょ? もうタイトルからしてズルいよね

霞沢さん

そうそう。で、そのまま『蘇生』に切れ目なく繋がるのが最高!

月藤さん

音がだんだん重なって、ゆっくり壮大になっていく感じがさ、
『はい、これから始まりますよー!』って宣言されてるみたい

霞沢さん

落ち着くのにワクワクするって不思議だよね。心が静かで、でも高ぶる

月藤さん

私さ、分厚い雨雲に覆われてた空から、急に太陽の光が差し込む瞬間みたいって思った

霞沢さん

あ〜!それ! 一気に視界が開ける感じ。爽快なのにちょっと神聖

月藤さん

アルバムの始まりとして完璧すぎない?

蘇生

霞沢さん

2曲目の『蘇生』、overtureのあの壮大さから一気に爽やかに入ってくるの、気持ちよすぎる!

月藤さん

うんうん! overtureは幻想的だったけど、急に現実に戻される感じあるよね。国道で虹撮ろうとして消えちゃったって

霞沢さん

あれ夢みたいなのに、すごく生活感あるよね。そこがまたいい

月藤さん

でさ、サビの『何度でも 何度でも 僕は生まれ変わって行く』がさ…もう名言すぎ

霞沢さん

でもさ、来世に期待って意味じゃなくて、
“もっと夢とか理想とか持ってた昔の自分に戻る”って感じがするんだよね

月藤さん

わかる! 忘れてた希望をもう一回ちゃんと生き直す、みたいな

霞沢さん

途中から『僕』が『君』になるのもずるいよね

月藤さん

急に聴いてる私たちに向かって歌い出すの、完全に心掴みにきてる

霞沢さん

『そしていつか捨ててきた夢の続きを』とか『やりかけの未来』とかさ、
全部ちゃんと“今の自分の人生の延長線”にあるのがいい

月藤さん

過去をなかったことにしないで、続きやろうよって言われてる感じする

霞沢さん

私は『そう思ってんだ 変えていくんだ きっと出来るんだ』が一番好き

月藤さん

あ〜そこ! あれ完全に自分に言い聞かせてるよね。弱いけど必死で前向いてる感じ

霞沢さん

間奏とかアウトロのシャウトもさ、自分を鼓舞してる叫びみたいで胸にくる

月藤さん

ライブver最高だよね! コール&レスポンスとか、あれ絶対泣くやつ

霞沢さん

22thアルバム『産声』ツアーでやってほしいなあ…

月藤さん

ほんとそれ。今のミスチルで聴いたら、絶対意味変わって刺さる

Dear wonderful world

月藤さん

3曲目が『Dear wonderful world』なの、アルバムタイトルと同じ“wonderful world”入ってるの、なんか特別感ある

霞沢さん

ね!“Dear”は、“親愛なる〜”とか“〜へ”って手紙の最初につけるだから、

月藤さん

あ〜、じゃあ“この世界へ”っていう呼びかけみたいな感じか

霞沢さん

曲めっちゃ短いし、歌詞も少ないのに、情景がはっきり浮かぶのすごくない?

月藤さん

うん。カフェで二人で通り雨やり過ごしてる感じだよね。窓の外ちょっと見ながら

霞沢さん

アウトロもさ、完全にお店の中の音だよね

月藤さん

話し声とか、コーヒーをマシンで淹れてる音とか…

霞沢さん

で、最後の『あの、カプチーノのお客さま…』
って店員さんの声!

月藤さん

歌詞もさ、『この美しい世界で』じゃなくて
『この醜くも美しい世界で』って言ってるのがいい

霞沢さん

うん、ちゃんと世界の嫌なところも分かった上で、それでも“wonderful”って言ってる感じする

月藤さん

歌い方も独特で、なんかおしゃれだよね

霞沢さん

普通の曲じゃないよね。特殊だけど、アルバムの流れ的には完璧

月藤さん

ここで一回、空気変えてくるのがさ、構成うますぎ

霞沢さん

この先どんな曲来るんだろって、自然にワクワクさせられる

one two three

霞沢さん

4曲目『one two three』来たね!

月藤さん

これさ、主人公が“ちゃんと前向いて進んでる人”って感じするよね

霞沢さん

うん。苦しんで必死にもがいてるってより、
あっけらかんと未来に向かって歩いてる感じ

月藤さん

だから応援したくなるんだよね。小難しく考えてないのがいい

霞沢さん

メロディもさ、楽しげで愉快

月藤さん

頭の中そのまま覗いてるみたいじゃない?
考えがポンポン跳ねてて、自然に体が乗ってくる

霞沢さん

歌詞もユニークすぎる(笑)
『戦闘服よりブレザーがよく似合う』って最初から何それってなる

月藤さん

あれさ、力技で戦うより、頭使うタイプってことなのかなって思った

霞沢さん

急に『ショーシャンクの空に』出てくるのも自由だよね

月藤さん

影響受けました感、隠す気ない感じが逆に好き

霞沢さん

横断歩道でマナー悪い車の描写とか、ちょっと嫌な現実なのにさ

月藤さん

でも全然重くならないんだよね。
“そういうのもあるよね”って、客観的に流してる感じ

霞沢さん

前の曲で“醜くも美しい世界”って言ってたのが、
こういう一瞬の描写でちゃんと効いてくるのうまいなって思う

月藤さん

リアルだけど暗くならないのは、この曲の明るさのおかげだよね

霞沢さん

でさ、最後、アントニオ猪木さんのスピーチ!

月藤さん

タイトルここで回収か〜ってなるよね

霞沢さん

じゃあいくよ? 1、2、3、

月藤さん

だーーー!!

渇いたkiss

月藤さん

5曲目『渇いたkiss』きました〜。はい、失恋ソング

霞沢さん

ミスチルのアルバムに失恋ソングないと逆に不安になるよね(笑)

月藤さん

てかさ、前の曲の最後の歌詞覚えてる?

霞沢さん

『愛しき人よ 君に幸あるように もう後ろなんか見ないぜ』でしょ?

月藤さん

そう! それ言ってた人と同一人物とは思えないくらい、真逆の男きた

霞沢さん

全力で後ろ見てる(笑)

月藤さん

タイトルにもなってる“乾いたキス”ってさ、気持ちこもってない、おざなりなキスって感じで切ないよね

霞沢さん

もうその時点で、二人のすれ違いが見える

月藤さん

浮気したとか、どっちが悪いとかじゃなくて、
お互いに原因があって喧嘩して別れた感じする

霞沢さん

だから余計に引きずるんだよね。完全に割り切れないやつ

月藤さん

この“僕”、別れた君のこと考えすぎじゃない?

霞沢さん

うん。思い出して後悔すればいいとか、
切ない夢を見ればいいとか…もう未練の塊

月藤さん

飲み込めてないし、昇華もできてない

霞沢さん

別れた事実を受け入れられてないのが、痛いほど伝わる

月藤さん

でもさ、ラスサビの歌詞が本当にすごい

霞沢さん

『生乾きだった胸の瘡蓋がはがれ 桃色のケロイドに変わればいい』でしょ

月藤さん

僕との思い出も、君の中にケロイドみたいに残ってしまえばいい、って

霞沢さん

きれいじゃない感情なのに、表現が美しいのずるい

youthful days

霞沢さん

6曲目『youthful days』!!
さっきまでの失恋ムード、どこ行った!?ってくらい一気に晴れるよね

月藤さん

イントロ流れた瞬間、空気変わる! 爽快すぎるし、名曲中の名曲

霞沢さん

もうさ、ラブラブすぎてニヤけるんだけど

月藤さん

わかる(笑)身近にこんな二人いたら、
惚気聞かされてる側はちょっと照れるやつ

霞沢さん

渇いたkissの直後だから、みずみずしさが倍増してる感じしない?

月藤さん

うん、恋が始まったばっかりの無敵感ある

霞沢さん

自転車二人乗りとか、サボテン一緒に育てたりとか、幸せの塊

月藤さん

あのサボテンの赤い花ってさ、
アルバムジャケットのト音記号に咲いてる花と重ならない?

霞沢さん

する! あとさ、ただ幸せ〜ってだけじゃないのがミスチルだよね

月藤さん

『君を抱いたら不安は姿を消す』とか
『苦しさにも似た感情』とか、ちゃんと日常の不安も描いてる

霞沢さん

だからこそ、“君なしじゃダメ”って言葉に説得力出るんだよね

月藤さん

完璧じゃない毎日だから、君が必要、みたいな

霞沢さん

サビのファルセットも最高じゃない?

月藤さん

裏声のとこで一気に心持ってかれる

霞沢さん

……私も、月藤さんとずっと二人でいられたらいいな

月藤さん

えっ!?

ファスナー

月藤さん

7曲目『ファスナー』…来たね。
同じ恋愛の曲なのに、『youthful days』と空気が全然違う

霞沢さん

うん、同じ“抱き合ってる二人”なのに、温度が違いすぎる

月藤さん

てか歌詞、ちょっとエロいよね///

霞沢さん

ちょっとどころじゃなくない? 捉えようによってはミスチル史上トップクラス

月藤さん

いきなり“スカートのファスナー下ろす”から始まるの、衝撃

霞沢さん

でもいやらしいというより、妙に冷静で乾いてる感じがする

月藤さん

構成的にもさ、『乾いたkiss』と『ファスナー』で『youthful days』を挟み込んでるの、意味深じゃない?

霞沢さん

純粋すぎる恋のエネルギーを、現実側からギュッて抑えてる感じする

月藤さん

youthful daysもファスナーも、二人は抱き合ってるのに

霞沢さん

そこにある気持ちは全然違う。本物じゃないというか、嘘というか

月藤さん

で、ウルトラマンのファスナーの比喩がすごい

霞沢さん

ヒーローって“実在しない姿”を見せて、みんなを楽しませてる存在だもんね

月藤さん

つまり君も、そういう“作られた姿”を見せてるんじゃないかって

霞沢さん

なかなか鋭いし、残酷な視点

月藤さん

でもさ、気づいててもやめないんだよね

霞沢さん

別れもしないし、壊しもしない。そのままでいいって思ってる

月藤さん

怠惰とは違うけど…諦めとも違うし…

霞沢さん

“現実をわかった上での選択”って感じかな

月藤さん

で、その気持ちもまた“胸のファスナー”に閉じ込めるって終わり方

霞沢さん

おしゃれだし、切ないし、余韻えぐい

Bird Cage

霞沢さん

8曲目の『Bird Cage』さ、いきなり桜井さんの叫び声で心掴まれない?

月藤さん

わかる!あのシャウト、もう感情むき出しでさ。別れ寸前の空気が一瞬で伝わってくる感じ

霞沢さん

時系列的にはさ、『Bird Cage』→『渇いたkiss』って流れがめっちゃしっくり来るよね

月藤さん

うんうん。もう限界ギリギリで、感情が爆発してるのが『Bird Cage』で、その後に虚しさが残るのが『渇いたkiss』って感じ

霞沢さん

しかもサビ短いのに、言葉少なくて全部シャウトなのが逆に怖いくらい刺さる…

月藤さん

同じ言葉を何回も叫ぶのがさ、整理できない気持ちをそのまま投げつけてるみたいでゾクっとするよね

霞沢さん

ライブで聴いたら絶対鳥肌やばいよね…

月藤さん

うん、感情ごと持ってかれそう

霞沢さん

2番の“間抜けな神様が僕らをつがいで飼おうとして 狭い鳥籠に入れたなら”って歌詞、ここでタイトル回収なの天才すぎない?

月藤さん

ほんとそれ。二人で一緒にいたはずなのに、自由がなくて生きにくかったってのが一気にわかる

霞沢さん

好きだったはずなのに、気づいたら鳥籠の中で息苦しくなってたんだろうね…

月藤さん

だから別れを“鳥籠のドアは開いてる”って表現するのが切ないけど救いもあってさ

霞沢さん

“遠く 遠く 遠く”って繰り返すとこも、もう過去から逃げたい、忘れたいって必死さが出てるよね

月藤さん

うん、忌々しい思い出から離れるために、ひたすら遠くへ行こうとしてる感じ

霞沢さん

あと“つがいで飼う”って表現、ノアの方舟っぽくない?

月藤さん

思った!しかも『渇いたkiss』の禁断の実の歌詞もあるし、創世記モチーフは確実だよね

霞沢さん

旧約聖書のモチーフ使いながら、こんな生々しい別れ描くの、やっぱ桜井さんすごい…

月藤さん

ほんと、重いのに目が離せない名曲だよね

LOVE はじめました

月藤さん

9曲目の『LOVE はじめました』さ、問題作って言われるのわかるよね

霞沢さん

うんうん。『Bird Cage』『渇いたkiss』の流れのあとにこれ来るの、なかなかの衝撃

月藤さん

Dear wonderful worldで言ってた“この醜くも美しい世界”の、“醜い”側を全力でぶちまけてる感じ

霞沢さん

しかも歌詞めっちゃ尖ってるのに、不思議とクセになるんだよね

月藤さん

そうそう。過激なのに何回も聴いちゃう中毒性ある

霞沢さん

タイトルにLOVEって入ってるけど、全然キラキラ恋愛ソングじゃないし

月藤さん

むしろ社会風刺だよね。“LOVEはじめました”って言い方がもう皮肉

霞沢さん

冷やし中華はじめました、みたいなノリでさ。そんな軽さでLOVE語るなよってツッコミ入れてる感じ

月藤さん

LOVEを崇高なものとして扱わないのが逆にリアル

霞沢さん

高尚どころか、消費される流行語みたいに扱われてる感じがゾワっとする

月藤さん

でもライブになるとさ、この曲めちゃくちゃかっこいいんだよね

霞沢さん

わかる!30周年の“半世紀へのエントランス”でも入ってたし、完全にライブ定番

月藤さん

あと“中田のインタビュー”ね!

霞沢さん

桜井さんサッカー好きすぎ(笑)

月藤さん

ライブだとそこ、長谷部だったりメッシだったり変えるじゃん

霞沢さん

今回は誰だろ?って毎回楽しみになるのズルいよね

月藤さん

尖ってて、皮肉だらけなのに、ちゃんと盛り上がれるのがミスチルのすごさ

霞沢さん

ほんと、嫌な現実見せられてるのに、なぜかテンション上がる

UFO

霞沢さん

10曲目の『UFO』、きた瞬間ちょっと安心しなかった?

月藤さん

した!『Bird Cage』『LOVE はじめました』でずっとダークだったから、急に世界が明るくなった感じ

霞沢さん

気づいたらもう10曲目なんだよね。このアルバム15曲も入ってるのに全然長く感じない

月藤さん

しかもここからラストまで、明るくてポップなの怒涛に来るの最高すぎる

霞沢さん

歌詞もさ、“上手くいかないことばかりだよ”って彼女が悩み打ち明けるところから始まるの、めっちゃリアル

月藤さん

付き合ってないけど、恋愛一歩手前っぽい距離感もいいよね

霞沢さん

普通のミスチルなら、“僕がどうにかする”とか“一緒に乗り越えよう”って言いそうなのに

月藤さん

この曲は違うんだよね(笑)

霞沢さん

UFOに頼むっていう発想がさ、完全に他力本願

月藤さん

でもそれが逆にかわいいし、人間っぽい

霞沢さん

現実変えてほしくて、妄想して、願って、ちょっとオカルトにすがる感じ

月藤さん

ミスチルでは珍しいタイプだよね

霞沢さん

重力を日常の重荷とか責任、生きづらさに例えてるのも好き

月藤さん

だからUFOに無重力の宇宙に連れてってほしいって思うの、わかりすぎる

霞沢さん

“迷いや苦しみもない世界”って歌詞、アルバムタイトルともガッツリ繋がってるよね

月藤さん

うん。『IT’S A WONDERFUL WORLD』の希望側をちゃんと見せてくれる曲

Drawing

月藤さん

11曲目の『Drawing』さ……音が流れた瞬間から切なさすごくない?

霞沢さん

わかる。儚さが空気みたいに広がってて、時間がゆっくりになる感じする

月藤さん

これシングルじゃないの不思議なくらい名曲だよね

霞沢さん

うん、もっともっと有名になってもいい曲だと思う

月藤さん

タイトル通り、“君との想い出を忘れないように絵に描いておきたい”って発想がまず優しい

霞沢さん

でも“あまり絵が上手じゃない”って言うのがまた人間味あってさ

月藤さん

しかも“絵に描いたとしても 時と共に何かが色褪せてしまうでしょう”って…

霞沢さん

永遠はないってちゃんとわかってる感じが、侘び寂びだよね

月藤さん

諦めてるというか、受け入れてる感じ

霞沢さん

だからこそ切ない

月藤さん

音楽の中で“絵を描く”っていう美術のモチーフが重なるの、めっちゃ奥深い

霞沢さん

芸術同士が静かにクロスしてる感じする

月藤さん

サビの“絵に描いたとしても”の最初の“絵”の高音、あそこ大好き

霞沢さん

あれ、叫びに近いよね。感情が一気に空に伸びてく感じ

月藤さん

“この素晴らしい 慌ただしい 人生を二人三脚で越えていけるかなぁ”も刺さる

霞沢さん

希望と不安が同時にあって、人生そのものって感じ

月藤さん

そういえば、桜井さんが地方で買った絵の話してたよね

霞沢さん

雲の絵!家に飾ってるってやつ

月藤さん

“淡い光の曇空に”って歌詞、あの絵のことなのかなって思っちゃう

霞沢さん

そう考えると、さらに愛おしくなる

月藤さん

まさに“wonderful world”って言葉が似合う曲

君が好き

霞沢さん

12曲目で『君が好き』来ました〜

月藤さん

ここでこの曲出してくるの、ずるいよね。ちょっと切ないラブバラード

霞沢さん

曲名がもう直球すぎるし、サビもそのまま“君が好き”だし

月藤さん

でもさ、それがいいんだよね

霞沢さん

しかも9曲目の『LOVE はじめました』で“愛してる人に愛してるという ひねりのない歌を歌おう”って言ってたじゃん

月藤さん

あれ、完全にこの曲への伏線だよね

霞沢さん

無駄に装飾しないで、まっすぐ伝える感じ

月藤さん

飾らないからこそ、ちゃんと心に届く

霞沢さん

もしかして実際に経験あったりする?

月藤さん

やめてよw

霞沢さん

『Sign』とか『365日』と同じ系統だよね

月藤さん

ミスチルお得意の純愛ラブソング。これはもう名曲確定

霞沢さん

しかもシングル発売日、1月1日だよ?

月藤さん

2002年、最高の年明けすぎでしょ(笑)

霞沢さん

情景ずっと夜なのもいいよね。月見ながら物思いにふけってる感じ

月藤さん

横に彼女はいるけど、彼女も悩んでて

霞沢さん

救いたいのに、うまくできないもどかしさが伝わってくる

月藤さん

好きだからこそ、どうしていいかわからない葛藤ね

霞沢さん

このアルバムの登場人物たち、みんな何かしら悩んでるよね

月藤さん

人生に苦労してるっていうか、ちゃんと生きてる感じ

霞沢さん

生きてて悩みない人なんて、まあいないよね

月藤さん

確かに

霞沢さん

それでもこの世界を懸命に生きて、素晴らしいって感じたり、しんどかったりして

月藤さん

その全部ひっくるめて“IT’S A WONDERFUL WORLD”なんだなって思えてきた

いつでも微笑みを

月藤さん

13曲目の『いつでも微笑みを』さ……私この曲ほんと大好き

霞沢さん

わかる!まず口笛が最高だよね

月藤さん

ライブで観客みんなで口笛吹くの、あれ楽しすぎる

霞沢さん

一体感すごいよね

月藤さん

“微笑み”って書いて、ほほえみって読んだり、えみって読んだりするのも好き

霞沢さん

イントロさ、生まれたばかりの赤ちゃんの泣き声あるじゃん

霞沢さん

あれで一瞬ほっこりするのに、歌詞入ったら、近所の誰かが亡くなってお葬式っていう…

月藤さん

生と死がいきなり並ぶの、すごいよね

霞沢さん

“死”がテーマなのに、タイトルが『いつでも微笑みを』なのがまたちぐはぐで

月藤さん

でもその違和感が逆に残る

霞沢さん

しかも“いつでも微笑みをって昔の歌を歌うべきじゃないかな”って

月藤さん

歌の中に歌が出てくるの、ちょっと不思議で面白い

霞沢さん

“自分が死んでも 君の中で僕は生き続けるだろう”って歌詞、めっちゃポジティブだよね

月藤さん

だから死を恐れなくていい、いつでも微笑みを、なのかって思う

霞沢さん

悲しいのに、最後はちゃんと前向きになるのがミスチルだなぁって

月藤さん

新アルバム『産声』のツアーでさ、これ絶対やると思うんだよね

霞沢さん

絶対??

月藤さん

じゃあ当たったらライブ終わりのカフェ代奢りねw

優しい歌

霞沢さん

14曲目の『優しい歌』さ、改めて聴くとほんとすごいよね。

霞沢さん

思い返せばこのアルバム、名曲しか入ってないし、最後の最後までちゃんと盛り上げてくれるのがもう強すぎる

月藤さん

わかる。しかもこれ、記念すべき10thアルバムで、デビュー1992年からちょうど10年目の節目なんだよね。

霞沢さん

『優しい歌』って、ミスチルにとって相当重要な位置づけの曲だと思うんだよね。

霞沢さん

“魂の歌”って歌詞も出てくるけど、あれってデビューから今まで世に出してきたMr.Childrenの曲たち、そのものを指してる気がしてさ

月藤さん

うん、バンドの歴史を自分たちで振り返ってる感じがするよね。

月藤さん

2番では後悔の歌になってて、順風満帆に見えるスター街道を歩んできたミスチルですら、“ああすればよかった”“こうすればよかった”って思う瞬間があったんだろうなって想像しちゃう

霞沢さん

それをちゃんと認めたうえで、最後に“優しい歌”にたどり着くのがいいんだよね。

霞沢さん

これからの曲作りとか、バンドとしてどう在りたいかっていう決意表明みたいな覚悟を感じる

月藤さん

だからこそ、この曲ってライブでも特別な場面で使われてきたんだと思う。

月藤さん

POPSAURUS 2001はこの曲のためにあったって言っても過言じゃないし、2009年の“終末のコンフィデンスソングス”でも大トリだったし

霞沢さん

異なるツアーでエンディングを任されてる曲って、なかなかないよね。

霞沢さん

でも最近のライブでは披露されてないからこそ、『産声』ツアーでまた聴けたらいいなって期待しちゃう

月藤さん

うん、きっとやってくれる気がする。…予想、当たるかな?

It's a wonderful world

月藤さん

いよいよ最後、15曲目が『It’s a wonderful world』で、しかもアルバムタイトルと同じっていうのがもうエモすぎるよね。

霞沢さん

3曲目の『Dear wonderful world』と同じメロディなのに、こっちはちゃんとサビがあるのも良い

月藤さん

うん。『Dear』ではカフェで“君の身の上話を聞かせてよ”って言ってたけど、この曲はそれを聞いたあと、少し時間が経ってからのアンサーみたいに感じる。

月藤さん

時系列的にもちゃんと繋がってるんだよね

霞沢さん

サビがさ、もう怒涛の励ましの言葉で胸いっぱいになる。

霞沢さん

“忘れないで 君のこと 僕は必要としていて” だけだと恋愛っぽいのに、そこで終わらせずに“同じように それ以上に 想ってる人もいる”って、自分以外の存在にもちゃんと目を向けてるのが好き

月藤さん

家族とか、友達とか、人生で関わってきた人たち全部含めてのメッセージだよね。

月藤さん

“あなどらないで 僕らにはまだやれることがある”とか、“手遅れじゃない まだ間に合うさ”も含めて、歌詞が強すぎて何回でも聴きたくなる

霞沢さん

『UFO』で“上手くいかないことばかりだよ”って言われたとき、うまく言葉を返せなかった僕がいて、『君が好き』では“僕の手が 君の涙 拭えるとしたら”って不安そうに歌ってたじゃん。

霞沢さん

ずっと、彼女の力になりたいのに、ちょっと不甲斐なくて、もどかしいイメージが続いてた

月藤さん

でもこの曲のサビで、ようやく全部の答えを君に渡してる感じがして、そこが本当に感動するんだよね

霞沢さん

“この世界は今日も美しい そうだ美しい”って歌詞、アルバムタイトルそのものだし、ここまで聴いてきた全部をひっくるめた集大成みたい

月藤さん

最後の最後、音が完全に消える瞬間まで聞き逃したくないって思わせる曲、初めてだったかも