叫び 祈り

Wake me up!

霧森さん

ねえ、この曲の最初の歌詞ってさ、いきなり“朝”から始まるじゃん?なんかオシャレじゃない?

茉城さん

わかる!しかもアルバムの始まりでもあるでしょ?

ほんとに“目が覚めた瞬間=ここからがスタート”って感じがしてさ、聴く側まで一緒に一日を始める気分になる。

霧森さん

そうそう。昨日までダメだった自分とか、うまくいかなかったこととか、全部いったんリセットして“今日から変わるんだ”って宣言してるみたいで気持ちいいんだよね。

茉城さん

でもさ、ただ明るいだけじゃないのがいいんだよ。ところどころにさ、現実の重たさとか虚しさみたいなのが混ざっててさ。

ほんとに“目が覚めた瞬間=ここからがスタート”って感じがしてさ、聴く側まで一緒に一日を始める気分になる。

霧森さん

そう、そのバランスが絶妙。前向きなんだけど、無理して前向き!って感じじゃなくて、ちゃんと傷とか迷いも抱えたまま前に進もうとしてる雰囲気。

茉城さん

うん、だから聴いてる側も置いていかれないっていうか、“あ、これ自分のことだ”って思えるんだよね。

変にドラマチックなフィクションじゃなくて、リアルな感情の延長線。

霧森さん

でさ、曲名の『Wake me up!』 がまた深いよね。

普通に翻訳すれば“起こして”だけど、それだけじゃなくて“眠ってる自分を目覚めさせて”って意味にも取れるじゃん。

茉城さん

そうそう!二つの意味が歌詞全体とリンクしてるっていうか。

物理的にも精神的にも “目覚めたい”って気持ちがあるんだよね。

霧森さん

聴けば聴くほど、ただの曲じゃなくて、自分に向けた目覚ましみたいになっていく感じ。

茉城さん

うん。なんかまた聴きたくなるよね。朝に。

彩り

茉城さん

ねえ、“ただいま おかえり”って歌詞さ、アルバムタイトルがHOMEなの考えると…もう完璧すぎない?

霧森さん

ほんとそれ!もう代表フレーズでしょ。あの一言に全部詰まってる気がする。

安心とか距離感とか、帰ってこれる場所って感じ。

茉城さん

しかもさ、一番の歌詞が“ただ目の前に…”で“ただ”から始まって、二番が“今 社会とか…”で“今”から始まるじゃん?

あわせて“ただいま”になるの気づいたときゾワッとした。

霧森さん

待って、それ気づいてなかった!!え、そういうこと!?すご…その仕掛け鳥肌モノだね。

茉城さん

でしょ!?ただ言葉を並べてるんじゃなくて、構造から意味まで全部計算されてるんだよ。

霧森さん

あとさ、“彩り”って曲名。アルファベットで書くと irodori じゃん?逆から読んでも irodori なんだよね。

茉城さん

そう!それも意味と合ってるんだよ。自分の小さな仕事や行動が、巡り巡って世界や誰かに色を加えてるって歌詞とちゃんとリンクしてる。

霧森さん

なんかさ、聴きながら“もうこれ偶然じゃなくて完全に狙ってるやつだ…”って思った。どこまで仕掛けるんだよって。

茉城さん

そうなんだよ。でね、この曲のすごいところは、ただ言葉遊びで終わらないとこ。

霧森さん

うんうん。

茉城さん

“自分の仕事に意味あるの?”とか“生きてる価値ってある?”みたいな、誰でもぶつかる悩みにちゃんと答えをくれてるんだよね。

霧森さん

そうそう。“気づかないところで誰かを支えてるんだよ”って優しく肯定してくれる感じ。

茉城さん

だから聴いたあと、すごい救われた気持ちになる。『ああ、自分も何かの役に立ってるのかも』ってさ。

霧森さん

ほんと素晴らしい曲だよね…。歌詞を読み込むほど感動が増すタイプ。

茉城さん

うん。こういう音楽が“HOME”っていうアルバムに入ってる意味も、すごくわかる気がする。

箒星

霧森さん

さあ、次の曲は“箒星”。

HOMEって言ったらまず“彩り”が語られがちだけど、個人的には“箒星”も同じくらい強い存在感あるよね。

茉城さん

めっちゃわかる!

彩りが人生とか仕事とか日常への歌だとしたら、箒星は感情とか恋とか、もっと内面に寄り添ってくれる歌詞って感じ。

霧森さん

しかもさ、“彗星”じゃなくてあえて“箒星”って表現してるのがいいよね。

なんか漢字の柔らかさとか響きの余白が詩的で好き。

茉城さん

うん。“箒星”って聞くだけでもう夜空が浮かぶというか…

儚いけど綺麗で、触れられないけど確かに存在してる感じ。

霧森さん

で、この曲、アルバムの中で初めて恋する二人が出てくるじゃん。

デートも、“地元の遊園地”っていう素朴さがHOMEの世界観とピッタリなんだよね。

茉城さん

わかる〜。背伸びしてない感じ。

特別な場所じゃなくても、二人ならどこだって特別になるっていう、あの空気。

霧森さん

それでさ、“弧を描いて”って何度も出てくるじゃん。あれがまた…

茉城さん

夜空に流れる箒星でもあり、観覧車の丸い軌道でもあり、頬に流れる涙でもあるってところが天才すぎる。

霧森さん

それがまたエモいんだよ…。

茉城さん

で、突然出てくる“すぅーっと”って擬音。歌詞っぽくないのにめちゃくちゃ効いてる。

霧森さん

そう!説明じゃなくて感情の音。言葉じゃ書けない気持ちが伝わってくるのすごくない?

茉城さん

全体的には前向きで、優しく背中を押してくれる曲だよね。

寂しさとか切なさもあるのに、最後は光が残る。

霧森さん

で、あのフレーズ。“人の形した光”。あれ最高すぎない?

茉城さん

うん…あの一行の破壊力よ。恋人だけじゃなくて、僕ら自身も誰かにとっての光なんだって思わせてくれる。

霧森さん

箒星みたいに、短くても、儚くても、ちゃんと誰かの空を照らしてるってね。

茉城さん

だから何回聴いても心がすぅーっと軽くなるんだよね。

Another Story

茉城さん

さて、続いては Another Story。

箒星に続いて恋愛ソングなんだけど、こっちは空気が一気に曇ってくるんだよね。

霧森さん

わかる。箒星は希望と優しさだったのに、Another Storyは“もうすぐ終わりそうな恋”の空気がひりひりしてる。

茉城さん

最初の “僕のごめんねって言葉を君は聞き飽きてるんじゃないかな” ってところでもうやられるよね。

喧嘩ばっかりで、しかも自分のせいだって自覚してる感じ。

霧森さん

あの“自覚してるのに直せてない感”リアルすぎて刺さる。

キャラ設定じゃなくて本当にその瞬間の息遣いみたい。

茉城さん

でも最後のほうで、“なんだかんだ君と生きる毎日が嬉しい”って気持ちがちゃんと出てくるのがいい。

開き直りじゃなくて、誤解しないでって必死に言ってる感じ。

霧森さん

うん。“うまく言えないから直接伝えたい”っていうあの不器用な距離感最高。

歌詞に飾り気がないのにちゃんと想いが立ち上がってくる。

茉城さん

でさ、この曲が Another Story ってタイトルな理由がまた良すぎるよね。

霧森さん

そうそう!『I♡U』に収録されてる“靴ひも”って曲に出てきた同じバスが登場するから、“あの二人の別の話=Another Story”なんだよね。

茉城さん

同じ世界線で別の角度から語られてるっていう設定がもうたまらん。物語性が爆上がり。

霧森さん

で、大サビの後ろでめちゃくちゃかすかに聞こえる英語のコーラス。歌詞カードに載ってないあれね。

茉城さん

うん、あれ聞こえる度、“え…なんて言ってるの…?”って毎回思う。

霧森さん

しかもさ、桜井さん本人ですら“なんだっけ?”って言ってたんだよね?(笑)

茉城さん

私は、“I don’t know why miss you”って聞こえた。意味でいうと“理由なんてわかんないけど、会いたい”でしょ?

これ恋してる人全員わかるやつ。

霧森さん

そうなんだよ。ロジックじゃないの。“好き”とか“会いたい”って気持ちは説明できないけど確かにそこにあるっていう。

茉城さん

“なんで好きなんだろう、なんで僕なんかを”って感じで、自信なさと混乱と恋しさが全部混ざってる。

霧森さん

そうなんだよね。この曲って結局、答えがないまま続いてく恋なんだよ。

茉城さん

完璧じゃなくて、不安定で、時々傷つけ合うけど、それでも一緒にいたい。そんな“本物の恋”が描かれてる。

霧森さん

箒星が“恋が始まる眩しさ”なら、Another Storyは“恋が続く現実”だね。

茉城さん

うわ、名言。

霧森さん

いや、曲が名曲なんよ。

PIANO MAN

霧森さん

さあ6曲目、突然空気が変わる“PIANOMAN”ね。

今までの繊細で丁寧な世界観から一気に投げやりな男感出てきて衝撃だった。

茉城さん

わかる!なんか“適当に生きてる”みたいな、でもそれが妙にリアルで良いアクセントになってるよね。ここで曲並べた順番が天才。

霧森さん

冒頭の“明け方近く”って時点でさ、前の曲の登場人物とは違う生活してるなって思った。

朝に起きるんじゃなくて夜が終わらない人。

茉城さん

そうそう。寝てない、徹夜、生活リズムぐちゃぐちゃ、少し不健康。でもそれがこの曲の味なんだよね。

霧森さん

で、この人まさに“誰のために生きてるんだろ”って言ってるじゃん?

いやもう“彩り”聴いてくれって言いたい(笑)答え出てるから。

茉城さん

ほんとそれw でも、そういう迷ってる人がいて、前の曲たちがあるからこそアルバムとして深みが増してるんだよね。

霧森さん

で、気になってたフレーズ。“It's gonna be alright.” 調べたら意味は――「なんとかなるさ」「大丈夫だよ」「うまくいくよ」

茉城さん

へぇ〜!そういう意味なんだ。なるほど、歌詞のあの雰囲気にめちゃくちゃ合ってるじゃん。

霧森さん

でしょ?あれ、励ましというより“まあ、どうにかなるっしょ”ってちょっとだらしない明るさなんだよね。

茉城さん

あ〜わかる。希望というより“開き直りのポジティブ”みたいな。

霧森さん

でも最終的に歌詞全体は前向きだよね。

可能性は無限大だとか、社会に負けず踏ん張る意思がちゃんとある。

茉城さん

うん、ふざけた態度しながらも、本当は戦おうとしてる感じが伝わる。

弱さを隠すための余裕ぶりっていうか。

霧森さん

そう、実は強がり。でもだから人間臭くて好きなんだよね。

茉城さん

わかる。この曲だけ主人公が完璧じゃないってところが逆に“HOME”の世界観に厚みを与えてる。

霧森さん

そして最後には“まぁなんとかなるっしょ”で終わるの最高。

もっと

茉城さん

さて、7曲目は『もっと』だね。ここでまた雰囲気が変わるんだよね。

霧森さん

うん、いままではすごくわかりやすくて汲み取りやすい歌詞が続いてたけど、この曲は抽象度高めで、1回聴いただけじゃ何が言いたいのか掴みにくい。

茉城さん

そうそう。でも何度も聴いていくうちに、少しずつ芯みたいなものが見えてくる感じがあるんだよね。深みがある。

霧森さん

曲調も悲しげだしね。なんかずっしりくる感じ。

しかも2001年に作られた曲で、あのアメリカのテロ事件の後っていう背景もあるから、歌詞の重みも納得できる。

霧森さん

曲調も悲しげだしね。なんかずっしりくる感じ。

しかも2001年に作られた曲で、あのアメリカのテロ事件の後っていう背景もあるから、歌詞の重みも納得できる。

茉城さん

桜井さんが"HOME"TOUR 2007 ~in the field~で語ってるんだよね。あれもチェックしておくと面白い。

霧森さん

歌詞の『もっと』ってフレーズ、何度も繰り返されてるのが印象的だよね。

茉城さん

うん。理屈ではわかってても、感情は制御できない。

自分に何度も言い聞かせてるような切実さが伝わってくる。

霧森さん

聴いてると胸がぎゅっとなる。前半7曲でここまで濃密なアルバムって、改めてすごいなって思う。

茉城さん

そうそう。まだ半分残ってるって考えると、2007年にオリコン年間1位になったのも納得だよね。

霧森さん

前半だけでもう圧倒されるのに、あと7曲もあるっていうのが怖いくらい。さすがMr.Childrenのアルバムだわ。

茉城さん

本当に、1曲1曲が深くて、聴けば聴くほど味わいが増す感じ。

霧森さん

うん。『もっと』はその象徴的な1曲だね。切実さが心に残る。

やわらかい風

霧森さん

さて、次は『やわらかい風』だね。箒星、Another Storyに続く恋愛ソングとして3曲目。

茉城さん

うん、でも今回は失恋した男の子目線なんだよね。別れた後の切なさがすごく伝わってくる。

霧森さん

君と一緒にいた楽しかった思い出が、ふとした瞬間に風に吹かれて蘇るって描写、めちゃくちゃロマンチックだよね。

茉城さん

しかも“風邪引いてないかな、元気に過ごしてるかな”って、別れても相手のことを気にかける優しさ。未練がある感じが切なくてたまらない。

霧森さん

ほんと、なんで別れちゃったんだろうって思わせる悲しさがある。まだ心が離れてない感じ。

茉城さん

あとさ、『もっと大きな器で もっと優しくて』って歌詞、前曲『もっと』とのつながりも感じるよね。

霧森さん

うん、歌詞のテーマが自然につながってる。感情の深みが増す感じ。

茉城さん

曲全体はタイトル通り“やわらかい風”みたいに優しくて温かい雰囲気なのに、アウトロになると不穏な音が入ってて面白いよね。

霧森さん

踏切の警報みたいな無機質で冷たい音が繰り返されてて、次の曲への橋渡しみたいになってる。

茉城さん

そうそう、優しさと切なさの中に、次への緊張感も混ざってる感じ。聴いてて感情の振れ幅がすごい。

フェイク

茉城さん

きたね、ここで『フェイク』。HOMEの空気感やコンセプトが見えてきたタイミングで、いきなり裏切ってくる感じ。

霧森さん

そうそう。アルバム全体の統一感をぶち壊してるんじゃ…って思っちゃうけど、桜井さんあえて入れてるんだよね。

茉城さん

もう15年以上前の曲だけど、シングルだしライブ定番だし、Mステでもやってたから知ってる人多いよね。

霧森さん

曲調もアップテンポでアガるし、テンション上がる!

でも歌詞はめちゃくちゃ過激で、世界中に嘘が蔓延してるとか、騙し合いが日常とか、めちゃくちゃ悲観的なんだよね。

茉城さん

うん、“すべてはフェイク”って言い放ってるけど、最後の最後で“それすら…”ってひっくり返すんだよね。

霧森さん

つまり、この曲自体が“すべてフェイク”って言ってるのも嘘で、つまり真実もあるってこと?

茉城さん

そう。どんでん返しに完全にやられた。ネガティブだけど、実は希望も残してるっていう複雑さが面白い。

霧森さん

アルバムの中で異質なのに、この曲があることで逆に全体が引き締まるというか。緩急つける意味もあるんだろうね。

茉城さん

うん、アップテンポでアガるし、歌詞も深いし、ライブで盛り上がる理由がわかる。

ポケット カスタネット

霧森さん

さあ、10曲目『ポケット カスタネット』。ここにきてまた斬新で実験的な曲だね。

茉城さん

最初はしっとり始まるけど、すごく幻想的で、聴いてると二人が手を取り合って長い人生を歩むイメージが浮かんでくる。

霧森さん

そうそう。でもこの曲の衝撃ポイントはやっぱり間奏だよね。

茉城さん

間奏長すぎてびっくりする!しかも途中で急にスピードアップして、ギアが上がる感じになるし、クライマックスに向かって盛り上がる。

霧森さん

ライブでこの間奏の演出が凄いんだよね。ライトとか照明の切り替えでさらにドラマチックに見える。

茉城さん

しかもサビの歌詞は同じなのに、間奏を挟む前と後で印象が全然違うのが面白い。1番と大サビでもまったく違う。

霧森さん

あえて同じ歌詞にしてるんだろうね。間奏で聴き手の感覚が変わるから、同じ言葉でも響き方が変わる。

茉城さん

最近のアルバムだと10曲収録が多いけど、HOMEは全14曲だからまだあと4曲もあるんだよね。嬉しい。

霧森さん

そう、曲のバリエーションがめちゃくちゃ豊かだから全然飽きない。構成の妙ってこういうことかも。

茉城さん

うん、アルバムを通して聴くと、曲順とか展開まで含めて楽しませてもらえる感じ。

SUNRISE

茉城さん

きた…!11曲目『SUNRISE』、私、HOMEで一番好きなんだよね。

霧森さん

あーわかる。冒頭の、一人自分の部屋でスピーカーで音楽を聴いてる描写からもう引き込まれる。

聴いてる私自身とリンクしてる気がするんだよね、親和性っていうか。

茉城さん

そう、主人公が部屋に閉じこもってる暗い側面もある。引きこもり気味なのかなって感じる。

でも過去の回想で、家族と暮らしていた幸せな日々も描かれてる。

霧森さん

意外とHOMEのアルバムで『家族』っていう言葉が出てくるのはこの曲が初めてなんだよね。そこにグッときた。

茉城さん

Dome Tour 2019 “Against All GRAVITY”の後半で演奏されたときの会場の雰囲気が印象的だったなぁ。

霧森さん

イントロ聴くと、あのライブで太陽が水平線からゆっくり昇る映像や空気感が蘇ってきて、また泣けてくる。

茉城さん

そしてこの後に『Tomorrow never knows』や『innocent world』が続くセトリがもう圧巻で、まさにAAG最大の見所を作った曲だよね。

霧森さん

アルバム曲なのにライブ映えがすごいし、HOMEのツアーでは演奏されてなかったから、ファンにとって待望の1曲でもあったんだよね。

茉城さん

そうそう。太陽って聞くと『Wake me up!』も思い出すよね。

霧森さん

あーなるほど。“生まれては消える命の意味を見いだせるかな?”って問いがあったけど、この曲では『繰り返すいのちに少し今も胸が踊る』って、主人公なりの答えが出てるんだよね。

茉城さん

そう、それが物語性を持って泣けるポイント。問いかけに答えが出るっていう、この流れが最高すぎる。

霧森さん

聴き終わると希望や温かさをもらえる、アルバムの中でも特別な1曲だね。

しるし

霧森さん

きた…『しるし』!もういわずもがなの名曲だよね。

HOMEの中でも王道ラブソングって感じ。

茉城さん

うん、一級品すぎる。最初は男女の恋愛ソングだと思って聴いてたけど、聴き込むうちに、あれ…家族の曲としても成立するなって気づいたんだよね。

霧森さん

たしかに。親子の関係性にも当てはまる歌詞だよね。だから聴く人によって解釈が変わるのが面白い。

茉城さん

サビの『ダーリンダーリン』ってフレーズも衝撃的。桜井さんのセンス光りすぎじゃない?

霧森さん

ほんとそれ。あえて特定のことばで説明しないで、余白を作って聞き手に想像させてるのがすごい。

茉城さん

そう、ダーリンって言われると、自分の大切な人を思い浮かべながら聴けるのがまた良いんだよね。

曲や歌詞に正解はないって、桜井さんもインタビューで言ってたし。

霧森さん

そうそう。だから男女でも家族でも、誰にでも自分のストーリーを重ねられるんだよね。

茉城さん

あと、驚いたのがストリーミング総再生回数1億回突破って!

2006年リリースなのに令和になっても色褪せないってすごすぎ。

霧森さん

ほんと、すごいよね。何年経っても色あせない名曲って、まさに『しるし』だね。

通り雨

茉城さん

あー、ここで『通り雨』か。実は『しるし』でアルバム終わらないんだよね。

霧森さん

そうそう。『しるし』で締めても十分最高なのに、その後に『通り雨』が来るプレッシャーやばいよね。

でも任されるだけあって、めちゃくちゃ良い曲。

茉城さん

しっとりした後に、まだ終わらせないぞ、もう一回盛り上げるぞっていう感じが楽しい。自然と笑顔になる曲だよね。

霧森さん

前半の『Wake me up!』や『箒星』の楽しさをもう一度味わえる感じもあって、明るくていい。

茉城さん

歌詞もHOMEを総括してるような内容で、通り雨は比喩になってるんだよね。

人生でふいに訪れる困難とか理不尽みたいな。

霧森さん

でも通り雨だからずっと降り続くわけじゃない。

いつか必ずやむから、口笛吹いて嫌なことは置いておこうっていう前向きさが気持ちいい。

茉城さん

生まれた瞬間からゆっくりと死んでいくっていうテーマもちらっとあって、HOME全体のテーマ、生と死も考えさせられる。でも明るさを失わないところがポイントだね。

霧森さん

うん、『キラキラ輝くといいのに』って歌詞、大好き。つい口ずさんじゃう。

茉城さん

わかる、『キラキラ輝くといいのに♪』って自然に口から出る感じ、最高。

霧森さん

締めなのに希望をくれる曲。これでアルバムを終えると、聴き終わった後に元気と温かさが残るよね。

あんまり覚えてないや

霧森さん

きた…『あんまり覚えてないや』。はぁ、これ最高すぎる。余韻が半端ない。

茉城さん

ほんとだね。HOMEのこれまでの曲を聴いた後に聞くと、また一段と味わい深い。

霧森さん

歌詞の冒頭が“朝目を覚ますと”って被せてるの、絶対わざとだよね。

茉城さん

うん、そう思う。タイトルも『あんまり覚えてないや』で、一番は彼女との昨夜のことを覚えてない、二番は寝る直前に浮かんだメロディーを忘れたとか…軽い感じだけど、それだけじゃないんだよね。

霧森さん

そう、それよりずっと昔の家族との思い出はちゃんと覚えてるって最後に出てきて、泣くに決まってるよ。

茉城さん

ずるいよね…歌詞の巧みさが半端ない。

朝から夜の繰り返し、日常の幸せ、恋人や家族の愛、命の意味…全部が伏線になって、この曲に詰まってる感じ。

霧森さん

そうなんだよね。アルバム全体がつながってるっていうか、最後に一気に集約される感覚。

茉城さん

HOMEのコンセプト、キーワードみたいなものが『僕がいる、ありがとう』っていうのも納得。

霧森さん

うん、全曲通して聴くと、この一言にすべてが込められてる感じがする。

茉城さん

最高のアルバムだったね。聴き終わった後、なんか温かい気持ちになる。

霧森さん

うん、『あんまり覚えてないや』で締めくくるこの余韻が、HOMEのすべてを物語ってる気がする。