Your Song

ねえねえ、3年ぶりにアルバムリリースされるって聞いた時点で心臓もたなかったんだけど。しかもトレイラー急に来るとか反則じゃない?

わかる…!25周年の最大級のライブ終わったあとでしょ?“ここからのミスチル、どう進化するの?”って期待値MAXだったよね

でさ、1曲目がYour Songってもう…ずるい。イントロの桜井さんの『うぉおおおー』って叫び、鳥肌止まらなかった

うん。3年待った分の期待を、最初のシャウト一発で全部回収してくる感じ。声の伸びも力もエグいし、無駄のない純粋な雄叫びって感じ

正直さ、桜井さんももう50歳見えてきてるじゃん?ファンとしてはさ…衰えとか考えちゃうの、ちょっと怖かった

それをさ、あの冒頭の一撃で全部吹き飛ばすのがミスチルだよね。デビュー直後みたいな若さとパワー、普通に更新してきてて震えた

“さあ始まるぞ”っていうアルバムの幕開けとして完璧すぎるメッセージ

あと歌詞!『君じゃなきゃ 君じゃなきゃ』ってサビ終わりに繰り返されるの、あれ反則…

タイトルがYour Song=あなたへの歌ってシンプルなのもいいよね。しかもさ、英語の“Your”って単数だけじゃなくて複数の『あなたたちの』って意味も含められるんだよね

つまり…ファン一人ひとり、そしてみんなに向けた歌ってことじゃん。もうそれ知った瞬間、感情が追いつかない

しかもさ、全曲歌詞集のタイトルも『Your Song』だし、アルバムツアーでも重要な場面でやって、30周年ライブのアンコールでも披露されて…

完全にミスチルにとっても、ファンにとっても“核”みたいな曲になってるよね

ただの1曲目じゃなくて、“これが今のMr.Childrenです”っていう宣言
海にて、心は裸になりたがる

2曲目が『海にて、心は裸になりたがる』ってさ、タイトルだけで情報量多すぎじゃない?聴く前から気になりすぎたんだけど

わかる(笑)。で実際聴いたら、身体が勝手に動く系の曲でびっくりした。これ絶対ライブで跳ねるやつ

しかもさ、ここでもシャウトの“うぉーおー”来るの強すぎ。1曲目から叫び続けてるなーって思ったw

不思議と叫びがエネルギーとして気持ちよく伝わってくる

歌詞もさ、めっちゃ共感した。ちょっと嫌なことあって、海見て現実忘れて開放される感じ、誰でもあるよね

うん。『心は裸になる』って表現、初めて聞いたけどめちゃくちゃおしゃれ。でも意味考えると刺さる

日常でさ、嘘ついたり、本音隠して着飾ったり…無意識にやっちゃってるよね

それを海の前では全部脱いでいいよ、みたいな。心を守る鎧を一回外していい場所って感じがした

あと、『◯◯なあなたにも』っていろんな人が出てくるの印象的だった

しかもさ、上から目線なあなたとか、わがままなあなたとか、正直あんまり好印象じゃない人たち(笑)

でもそこがいいよね。人生ってそういう人とも関わらなきゃいけないし、避けられない

で、サビの『きっと世界はあなたに会いたがっているよ』が全部ひっくり返す

そう!どんな人でも、どんな状態でも、存在そのものを肯定してくれる感じ

Your Songが“あなたたちへ”の歌だとしたら、この曲は“どんなあなたでもいい”って言ってくれてる気がする

普段は心の距離離れがちで、本音なんてなかなか見せられないけど、この曲を聴いてる間だけは心を裸にしていいってことなのかも
SINGLES

3曲目が『SINGLES』ってさ、まずタイトルから引っかかるよね。シングル=ひとりなのに、なんで複数形?って

わかる。そこでもう意味深。しかもさ、ここで急に失恋ソングぶち込んでくるの、構成えぐい

Your Songのあの幸福感からの真逆で、温度差すごい

でもこの曲、よくある失恋ソングと全然違うよね。別れた理由も、すれ違いの原因も、恨みも後悔も一切出てこない

うん。あるのは“いまの僕の気持ち”だけ。別れた直後で、思い出はまだ全部焼き付いてるのに、それを嘆きもしない

そこが逆にリアル。強く生きてる感じはするんだけど、”悲しいのは今だけ”って無理して強がってる感じがしてさ…

“大丈夫”って言い聞かせながら、必死に前に進もうとしてる人の背中みたい

あと間奏がほんとにかっこいい!揺れ動く心を抱えながら、それでも踏ん張って生きてる感じが音だけで伝わる

わたしもこの曲の間奏めっちゃ好き。言葉が止まる分、感情があふれてくるよね

そういえばこれドラマの主題歌だったよね

そうそう!しかもさ、『重力と呼吸』のツアー1曲目がこれだったの、衝撃すぎた

ほんとそれ。いきなりSINGLESのイントロ聞こえ始めたとき“かましてくるなー!”って思ったw

幸せでもなく、絶望でもなく、“ひとりになった今を生きてる”っていう覚悟の曲を一曲目に持ってくるのがミスチルだよね
here comes my love

4曲目、『here comes my love』だけどさ、“here comes”ってどういう意味?

調べたんだけど、“here comes ~”は『〜がやって来る』『〜の登場だ』って意味なんだって

へー!じゃあ曲名はつまり、『さあ、僕の愛がやってくる』とか『ここに愛が現れる』って感じか

そうそう。直訳っぽいけど、希望とか覚悟を含んだ言い方だよね

で、この曲も海が出てくるけど、2曲目の『海にて、心は裸になりたがる』とは全然雰囲気違う

うん。イントロが静かで厳かで、最初すごくゆったりしてる

歌詞もさ、虚しさとか無力感をちゃんと見つめてる現実的な感じで、夢だけ語ってないのが好き

でもその中で、荒波みたいな困難があっても負けないっていう意思はちゃんと感じるんだよね

曲自体も波みたい。静かで穏やかになったかと思えば、急に盛り上がって叫ぶような歌い方になる

感情が抑えきれなくなる瞬間みたいで、めちゃくちゃいい曲

あとさ、海を渡るのに船とかボートじゃなくて“泳ぐ”ってところが好き

わかる!身一つで立ち向かう泥臭さと潔さが、この曲の世界観にぴったり

一番の『君に辿り着けるように』って歌詞もさ、完全に一人で必死に進んでる感じなのに、最後は『いつかきっと僕ら辿り着けるよね』って、“僕ら”になるのがエモすぎる**

しかも“よね”って確認してるのがいい。絶対行く!とか俺についてこい!みたいな暑苦しさがないのが、ほんとMr.Childrenらしい

希望はあるけど、ちゃんと不安も一緒に抱えてる感じが好き
箱庭

5曲目が『箱庭』。箱庭ってさ、普段あんまり聞かない言葉だよね

うん。調べたんだけど、箱庭って本来は“箱の中に作られた小さな庭”のことで、そこから転じて“閉じられた小さな世界”とか“限られた空間”って意味で使われるんだって

へぇ〜。そう思って聴くと一気に見え方変わるね

曲自体はさ、すごく優しくて爽やか。4曲目まで情報量多くて感情揺さぶられまくってたから、『ここで一回深呼吸して』って言われてる感じ

わかる(笑)。フルコースのメイン料理が続いたあとに出てくる、口の中を整えるソルベみたいな

いい例え!それか静かな公園のベンチに座らされる感じ

でも歌詞はしっかり失恋の曲なんだよね。『君を大好きでした』って、こんなにストレートなの逆に沁みる

変に飾らないのがいいよね。サビの『誰のための愛じゃなく 誰のための恋じゃなく』も印象的

もう周りなんて一切見えてなくて、君だけで世界が完結してたってことなのかな

だからタイトルが『箱庭』なのかもね。二人だけの小さな世界

一般的にはさ、箱庭って狭くて息苦しいイメージあるじゃん。でもこの曲、最後が『箱庭に生きてる』で終わるのがさ…

別れた“今”も、まだそこから出られてないってことだよね

もしかしたら外の世界に出るのが怖いのかも。君との思い出以外、もう作れない気がしてるとか

……あ、待って。『海にて、心は裸になりたがる』の『世界はあなたに会いたがっているよ』に繋がらない?

ほんとだ!箱庭に閉じこもってる僕に向けたメッセージみたい

アルバムの中でちゃんと会話してる感じがして好き

それにさ、この曲ライブでまだやってないんだよね

いつか絶対聴きたい。ホールツアーとか静かで小さめの会場でじっくり浸りたい曲
addiction

ここから後半戦突入!6曲目は『addiction』。まずさ、addictionって中毒…だよね?

うん。addictionは“依存・中毒・やめられない衝動”って意味。薬物とかだけじゃなくて、欲望そのものに取り憑かれる感じ

一気にギア上がるよね。この曲、完全にライブ特化

うんうん。ライブでの盛り上がり方エグかったの覚えてる

しかも桜井さん、最初からライブでやること想定して作ったって言ってたよね

『more more more!』ってみんなで叫ぶところ最高すぎる

コロナ前だったからさ、声出しOKで全力で叫べたのがまた…思い出したら早くライブで叫びたくてうずうずしてきた

それもうaddiction=中毒衝動じゃんw

たしかにw でさ、歌詞にある『そろそろwooferに身悶えて』のwooferって何?ってなった

調べたら、wooferは低音を出すスピーカーのことだって

なるほど!じゃあ、重低音に身体ごと揺さぶられて、悶えてる感じか

完全にライブの情景だよね。音に支配されて理性が飛ぶ瞬間

歌詞全体もさ、誰にだって我慢できないくらい欲しいものがあるって前提なのがリアル

そうそう。ひとつやふたつは絶対あるのに、みんな表に出さないだけ

この曲、それを隠すなって言われてる気もするし、逆に暴かれてる気もする

欲望を肯定してるわけでも、否定してるわけでもなくて、“これが人間だよね”って突きつけてくる感じ

アルバム後半の入口にこれ置くの、攻めすぎだけど完璧
day by day(愛犬クルの物語)

7曲目、『day by day(愛犬クルの物語)』ってさ、タイトルに()入ってるの珍しくて自由な感じするよね

うん。まずday by dayの意味だけど、『日々少しずつ』『一日一日を重ねて』っていうニュアンスだよ

なるほど〜。この曲にぴったりじゃん

歌詞は正直けっこう切ないのに、曲自体はサビの“day by day”がすごく力強くて明るいんだよね

そうそう。内容知ると余計にくる。子どもに恵まれなかった夫婦のもとにクルがやってきて、大切に育てられて

すごく幸せな時間を過ごしてきたのが伝わってくるよね

しかもそれが過去で終わらないのがいい。奥さんが亡くなったあとも、夫とクルが一緒に思い出を抱えて暮らしてるのがわかる

悲しいはずなのに、温かい気持ちになる不思議な曲

思い出すたびに愛しさが深くなっていくって描かれてるのがさ…

うん。愛情は終わらないし、これからも増え続けるっていうのが素敵

出会いから別れ、そして現在までちゃんと描かれてて、ほんとに“物語”って言葉がしっくりくる

そういえばさ、最新アルバム『miss you』の『LOST』でも、飼い犬が僕の帰りを待ってるって歌詞あるよね

あれで桜井さんの犬好きな一面ちょっと見えた気がした(笑)

あとこのアルバムから、やたら英語多くなってない?

それ思った!この時期、桜井さん英会話通い始めたらしいよ

影響めっちゃ出てるよね。年重ねても新しいこと学ぼうとする向上心、さすがすぎる

その姿勢も含めて、この曲の“day by day”って言葉が重なる気がする
秋がくれた切符

8曲目が『秋がくれた切符』ってさ、春でも夏でもなく“秋”ってところがいいよね。

わかる。わたしの一番好きな季節

でも最近さ、秋短くない?夏終わるの遅いし、急に寒くなって冬来る感じで

それそれ。ちゃんと秋を味わう時間が減ってるの、ちょっと寂しい

曲はしっとりしたバラードで、純粋なラブソングだよね

うん。派手じゃないけど、心地よくて空気が柔らかくなる感じ

『秋がくれた切符』って表現も素敵。あれって、紅葉した木から落ちてきた枯れ葉一枚のことなんだよね

そうそう。公園の何気ない日常のワンシーンが、そのまま歌になってる

特別な事件が起きるわけじゃないのに、ちゃんと幸せ

感性の豊かさを感じるよね

聴いてるとさ、『このまま時間が止まればいいのにな』って本気で思う

わかる…。ずっと秋でいい

ライブのMCで言ってたけど、この曲ほんとに秋に作られたらしいね

秋は曲作りが捗るって言ってたよね。メロディーが浮かびやすいって

それ聞いてからさ、毎年秋になると“あ、桜井さん曲作ってる季節だ”って思うようになった

ファンあるある(笑)

アルバム的にもさ、ここで一回深呼吸させてくれる位置

うん。そして…残るはあと2曲。怒涛の2曲
himawari

そして9曲目…ついにきた『himawari』。もう存在感が別格だよね

うん。映画主題歌でもあって、めちゃくちゃ有名だし、言わずと知れた名曲

ミスチルの代表曲なんて数えきれないけど、2017-18年っていう時代を切り取るなら、間違いなくhimawari

まずさ、イントロで圧倒される。重厚なのに、奥にちゃんと繊細な優しさがあって、ただただかっこいい

25周年のとき、桜井さんが『この曲でこてんぱんにやっつけたい』って言ってたの覚えてる?

覚えてる(笑)。曲でこてんぱんにやっつけるって何?って思ってたけど…聴き終わったあと、ほんとに殴られたみたいな衝撃だった。あ、これか…やられた…って

歌詞もさ、『優しさの死に化粧で〜』から始まるの、いきなり詩的すぎる

『想い出の角砂糖を〜』とかもね。受け取り方、想像する景色が人によって全然違うと思う

曲としては、恋人と別れた“僕”目線の歌だよね

で、やっぱり考えちゃうのが、サビの『暗がりで咲いてるひまわり』。普通ひまわりって、太陽の光を浴びてるイメージじゃん

でも暗がりで咲いてるってことは、光が当たらない環境なのに、ちゃんと咲いてる

まっすぐで強くて、美しい。しかも暗いからこそ際立つ美しさ

辛い環境や境遇でも、めげずに生きてる姿に僕は恋してたってことなのかなって思った

それ、映画『君の膵臓をたべたい』にぴったりすぎるよね

ほんとに。物語の核心をそのまま音楽にしたみたいな曲

アルバム後半、ここでこの曲を置くの、反則級の破壊力
皮膚呼吸

ついにラスト…『皮膚呼吸』。もうさ、何回聴いても涙出てくるんだけど

わかる…。アルバムの最後にこれ置くのずるい

歌詞がさ、子ども時代とか若かった頃を回想してるよね。でも目線は完全に年を重ねた“大人の今”

うん。で、英語サビの『I'm only dreamin', but I'm only believin'』だけど、意味は『ただ夢を見ているだけだけど、それでも信じている』って感じ

“only”が入ることで、控えめで弱気なニュアンスになるんだね

そうそう。夢を大声で叫ぶんじゃなくて、小さく胸にしまってる感じ

それがさ、大サビでonly が still に変わるじゃん?ここがもう…『I'm still dreamin', I'm still believin'』=“今でも夢を見ている、今でも信じ続けている”

“まだ”夢を見てる、“まだ”信じてるって…
同じ内容なのに、覚悟の重さが全然違う

onlyは“かろうじて”だけど、**stillは“諦めてない”**なんだよね

そう考えると、このアルバム、意外と“夢”って言葉あんまり出てこなかったよね

前はさ、いつか夢は叶う!って曲多かったのに

年を重ねて、簡単にそんなこと言えなくなったのかなって少し思った

アルバム全体は、パワーとかかっこよさとか、“まだまだ負けないぞ”って覚悟が前に出てる曲が多かった

それを虚勢とか無理してるとは思わないけど、どこか“作品としてのフィクション”感は確かにあったかも

でもこの曲は違うよね。最後の最後に、紛れもない本音を出してきた

包み隠してない、メッキも何もない感情

そんなのぶつけられたらさ、ファン泣くに決まってる

ライブのMCも含めてね。『皮膚呼吸』は、その場で聴いて完成するメッセージって感じがする

アルバムの締めとして、これ以上ない一曲

うん…最高のアルバムだった


